アコースティックギターの単板、合板かの見分け方 | 初心者から始めるアコギ塾

トップ板、サイド・バック板が単板か合板かの見分け方について

 

今回はアコースティックギターに使われている表板と裏板・側板が単板か合板かの区別の見分け方について解説したいと思います。単板とはその名前のとおり、単一の板で出来た木材のことです。合板は複数の板を組み合わせて出来た木材です。ちなみにベニヤ板のことを合板と呼ぶこともありますが厳密には違うそうです。

 

表板(トップ板)の見分け方

 

表板の見分け方についてはわりと簡単です。ギターのサウンドホールの切り口を見てみましょう。合板ギターの場合はまず木目が繋がっていません。また切り口が雑だったり、不均一で色ムラがあったりします。

 

合板の場合

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写真ではわかりずらいかもしれませんが、切り口が整っていなく色ムラがあります。

 

単板の場合

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こちらはわかりやすい写真だと思いますが、切り口に木目が通っており単板であることがわかります。

 

側板・裏板(サイド・バック)の見分け方

 

表板の見分け方は簡単ですが、裏板と側板の見分け方は難しいです。おそらく素人で見分けがつく人は少ないと思われるくらいです。アコースティックギターを製造する職人やリペア業をやっている人ならわかるかもしれません。一応判断の目安となっているのは、サウンドホール内部から見た木目とひっくり返して裏から見た木目で見分けることですが、木目が地味だったりする場合はやはり見分けが困難なように思われます。あとは板にクラック(木の割れ)が発生しているかどうかですね。合板ギターの場合は強度面については単板のギターよりもずっと上なので古いギターでもクラックが出来ることは珍しいといえます。

 

近年に販売されたアコースティックギターの場合、製造スペックがかなり告知されているのでそれを見れば一目瞭然ですが、古いギターの場合は仕様スペックが時期によって変わっていることがよくあります。そういうわけで裏板と側板が単板かどうかが不透明な場合があります。もし自分の持っているギターが単板か合板かがあやふやな場合は、裏と表の木目具合、クラックの有無、指でボディを叩いた時の音の響き具合、ボディの重量(合板は重い傾向にある)などから総合で判断してみましょう。

 

ちなみに余談ですが、側板(サイド板)の場合は裏板よりも見分け方が困難なので、カタログスペックでは単板と書いてあっても実際は合板であったという場合もあります。側板の場合、音質には影響は少ないとされているので大きな問題にはなってませんが、安いオール単板の場合は少しだけ注意が必要です。

 

単版と合板、どちらが優秀なのか?

 

よく質問されることなんですが、一般的に単板のギターの方が音質面では優れているとされています。その単板の中でも表も裏も側面も全部単版に使ったのをオール単板といい、わりと高級スペックとして扱われています。

 

では合板ギターが劣っているのか?というと合板ギターにも優れている点がいくつかあります。まず一つ目にアコギ本体の耐久力が高いということです。つまり合板ギターは単板に比べて頑丈に作られています。路上での弾き語りで少々雑な使い方をしても問題ありません。二つ目に音量が出ない分ハウリング面では強いともいえます。ハウリングが強いということはレコーディングでマイク録音する時に不要な音が発生しにくいというメリットがあります。実際にプロのレコーディングでも3万円前後の安いアコギが使われている例はたくさんあります。

 

そういうわけで単板と合板のどちらにも優れている点はあります。適材適所という言葉もあるので用途によって使い分けるのがベストでしょう。

 

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